王子稲荷神社の絵馬(鬼女の図)
王子駅から王子稲荷へ向かう。参道を歩いていくと、出店がたくさん出ていた。良く晴れてあたたかい。今日は二の午だ。「関八州の稲荷神社の惣社」といわれる王子稲荷神社では、二月の初午と二の午に「火除けの凧」が授与される。それを目当てに多くの参拝者が訪れる。柴田是真作の鬼女の図も、正月三が日と二月の午の日にのみ公開されている。私の目当てはむしろそっちの方。
凧やお札など授与品の見本。「御朱印」もすっかりポピュラーになった。
たくさんの人が列に並んで拝んでいる。
史料館へ。
「鬼女図」は、1840(天保11)年の二月初午に奉納された。大きさは縦190cm、横245cmにもなる。絵師は蒔絵師としても有名な柴田是真。いわゆる茨木童子の伝説で、渡辺綱に切り落とされた腕をまさに取り返した場面を描いている。
奉納したのは明徳講という江戸住吉の砂糖商人の同業者組合で、当時幕府に奪われていた砂糖の専売権を伝説になぞらえ取り戻そうと祈願したもの。のち専売権は講に戻ったという。
この絵馬を見て感動した五代目尾上菊五郎は、河竹黙阿弥に頼み「新曲茨木」を上演。是真には絵馬を発注して興行中は仕切り場に飾り、浅草寺に奉納した。
その奉納された絵馬は王子稲荷のもののほぼ半分の大きさで浅草寺に現存している。
もと拝殿の天井画だった谷文晁の龍図もある。
お面がデカい。
その他、古文書や棟札など。
社務所には列の整理のためロープが張られていた。
迷って小さい木版の凧を購入。
幼稚園児による舞も披露されていた。保護者と思しき方がたくさん。
境内にはやはり狐の像がたくさんある。
特にこの狐はなんとも言えない表情で、ここに来るたび写真を撮ってしまう。台座には宝暦年間(1751~1764)の奉納とある。澄ました顔をして250年以上鎮座ましましているのだ。
来年は初午にでも来ようと思う。
◯王子稲荷神社・・・東京都北区岸町1丁目12−26