(岩木山求聞寺の絵馬堂)
青森県弘前市の求聞寺絵馬堂についての記事、第二回目。求聞寺までの道のりや概要などは前回の記事を参照してほしい。
・求聞寺絵馬堂の絵馬②
向かって左側の壁の絵馬を左上から順に見ていく。
女性の拝み絵馬。虚空蔵菩薩。
男女三名の拝み絵馬。虚空蔵菩薩が右側に描かれている。
虚空蔵菩薩の絵馬。「青森縣中津軽郡駒越村大字鳥井(野?)大正六年旧九月四日 大髙正夫敬白」「昭和四年九月二日 成田喜司 敬白」。
銭で作られた鳥居の額。「昭和十年七月九?日」「中郡藤代村大字?土堂 山本専五郎 敬白」
男性の拝み絵馬。
女性の拝み絵馬。山を背景に岩木山神社の神を描いたものだろう。
銭で作られた鳥居かと思いきや板に描かれているようだ。「昭和八年旧五月十三日」「南郡畑岡村字林崎 成田サダ 五十二歳」。
右には虚空蔵菩薩の絵馬。「昭和貮拾七年旧一月十三日」。
女性の拝み絵馬。一瞬猫耳かと思ったがリボンのようだ。「昭和二年六月十三日 弘前市土手町 藤田千代 十三才」。
虚空蔵菩薩の拝み絵馬。「昭和七年舊六月二日」「髙谷かや」。
宝物に囲まれた恵比寿大黒。
縦長の寅の絵馬。「鼻和 鳴海夛作 敬白」
なかなか迫力のある武将の絵馬。「明治四拾四年旧◯月一日」「黒〇成田氏」
虚空蔵菩薩の男の拝み絵馬。
女性の拝み絵馬。
白馬の絵馬。「明治三十七?年」「願主 相馬村三上津〇五?郎」
「聖觀世音 大正二年八月朔日」。元は境内の観音堂に奉納された絵馬かも。
牛の絵馬。
福禄寿と亀の絵馬。
牛の絵馬。
宝物と大黒天の絵馬。「居土村 山中三太郎 敬白」。
比較的新しい龍虎の絵馬。「常盤村々長當選記念 高木爲貞 昭和四十四年二月九日」。常盤村は現在の藤崎町北部。
「昭和四十八年初夏」「祝会員還暦祈願子孫安泰」「弘前市城西大正十四年会有志」「弘前ネプタ繪 水滸傳 花和尚勇戦の圖 達温」。
「花和尚」は水滸伝の登場人物である魯智深のあだ名。「達温」は弘前ねぷたの絵師として活動し「ねぷた和尚」の愛称で親しまれた長谷川達温(1921~1989)のこと。
馬や牛、鳥の小さな絵馬もたくさん奉納されている。
白い猿の絵馬。
素朴な龍の絵馬。
ここからは正面の壁の左側半分の奉納物を見ていく。
立派な寅の絵。
太陽の方を向き拝んでいるような高砂の絵馬。「藤苗村 小嶋サド」「大正五年旧三月廿日」。右下の落款は「仙波?筆」と読める。
寅と丑の絵馬。まさに求聞寺にふさわしい。「仙波筆」。
千両箱を背負ったおめでたい丑の絵馬。「大正四年 弐?月?吉?〇」「弘前〇〇」「〇〇末吉」。
寅の絵馬。「明治四十五年九月廿四日 品川町 近藤」。
右側の絵画は狩野芳崖筆の《紙本著色不動明王図》の複製だろう。
ここからは扉上の壁の絵馬を向かって左から見ていく。
虚空蔵菩薩?の拝み絵馬。「大正十五年舊八月一日 和徳村字堅田 願主柿崎ナオ年三十六?才」。
太陽を拝む老夫婦の拝み絵馬。
恵比寿大黒の絵馬。
高砂と亀の絵馬。
左側の絵馬は丑の背に乗る子供が描かれている。十牛図の第六図「騎牛帰家」か。右側は虎と男性が描かれている。虎と共に描かれる仙人には鄭思遠がいる。
虚空蔵菩薩を囲む人々の絵馬。
鯛を釣る恵比寿の絵馬。
丑の絵馬。「昭和五?年六月十一日 中津軽郡西目屋村大秋 澤田周一才?」
・まとめ
本尊の虚空蔵菩薩の絵馬や「丑寅生まれの一代様」であることから丑や寅の絵馬が多かった。馬の絵馬や恵比寿、大黒、高砂、桜井の別れなど定番の図柄も見られた。奉納時期は明治〜昭和にかけてのものがほとんどのようだ。これほどたくさんの小絵馬を見られる場所は全国的にも少ないだろう。すぐ近くの高照神社と共に津軽の絵馬文化を感じさせる場所だった。